第99回 さがみ探訪 「日本近代史の足跡を訪ね歩くヨコハマ散策」

投稿日
執筆者
布施克彦
掲載元
ミニだより113号

2024年2月10日(土)

日本近代史の足跡を訪ね歩くヨコハマ散策

藤沢地名の会の行う探訪は、草木濃い神社や寺を巡るのが定番だが、今回のコースは大都市中心部に広がるコンクリートの林が目的地だ。ビルの谷間を吹き抜ける冷たいハマ風を心配したが、幸い実施日は厚着では汗をかくほどの晴天に恵まれた。

ペリーが日米和親条約締結のため、寂しい横浜村の浜辺に上陸してから170年が経つ。あのときも丁度、今回の探訪実施と重なる2月だった。その5年後に開港場となった横浜は、国際貿易港として急速に発展を遂げてゆく。今回の探訪は、関内と呼ばれた当初の開港場の主要部分に点在する歴史スポットを巡った。

ミナトヨコハマの発展には、幾度もの試練を乗り越えた軌跡がある。折角形成されつつあった新しい街は、1866年の大火で多くの建物が焼失した。開港場の南端にあった遊郭では400人以上の焼死者がでて、場所の立ち退きを強いられた。その後街は復興したにもかかわらず、約半世紀後の1923年に襲った関東大震災で街は瓦礫と化した。その後の太平洋戦争下での空襲、さらに敗戦後しばらくは街の主要部分が駐留軍に接収された。

旧開港場の界隈の美しい街並みをそぞろ歩きする限り、それら歴史の傷跡を感じることはできない。街の中心に存在感を示すキング、クイーン、ジャックの3塔を擁する優雅な建物も、正面から見上げる限り、崩壊と再建の過去の苦難は分からない。しかし、街角にひっそりと建つ記念碑や案内板を丹念に読めば、この街を巡る近代史は一筋縄ではいかなかったことを知ることができる。

運上所(税関)、町会所、外国商館や領事館など、開港場の機能を司ってきた機関や施設の跡地だけでなく、横浜が文明開化の先頭を切り開いてきたことを示すモニュメントの数々が、街の隅々に隠れている。本邦最初の電信、電話、外国郵便取り扱い、ガス供給施設、下水道設備に消防貯水槽などなど。日本で初めて営業をしたホテルやベーカリーの跡地を示す案内板や、綿花貿易で繁盛した商社の倉庫遺構もある。歩く距離は短く、道は平坦。いつも探訪の際気に懸かるトイレは随所にある。

日本最古の公園のひとつとされる横浜公園で、正午過ぎに解散。いつもは一斉に帰路を目指す参加者たち計31名は、余裕をもってランチや買い物など、それぞれの意の向く先へと散っていった。

(参加者:31名)

さがみ探訪

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