遠野アイヌ語地名研究大会
エクスカーションに参加して- 投稿日
- 執筆者
- 佐々木道雄
- 掲載元
- ミニだより118号
2025年11月15日(土)―16日(日)
冬が迫る11月15日(土)―16日(日)に岩手県遠野市で開催された日本地名研究所主催の研究大会に初めて参加しました。とはいっても、初日の15日はJR東日本のキャンペーンに誘われ、前九年合戦の伝承地である金ケ崎に立ち寄りました。金ケ崎は奥州街道の宿場町で、伊達領・南部領の領境に位置した特殊性が、同地区の要害の歴史を示す資料館や藩士の住宅に感じられました。その後、閉館時刻に間に合うよう、遠野市に向かい遠野市立博物館を見学しました。同博物館は柳田国男の名著『遠野物語』の世界(ザシキワラシ・オシラサマ・河童などの民話/信仰など)を演出する当地の民俗展示が主で、翌日のエクスカーションに期待を抱かせるものでした。大会終了時刻に合わせ、金田所長や菊地事務局長に初対面のご挨拶と、40周年記念誌への祝辞のお礼をしました。
翌日は晴天に恵まれる中でエクスカーションが開催されました。事前に3コースに分かれて募集されており、小生はAコース(遠野・花巻コース)を希望していました。たまたま所長と同行することになり、前日の挨拶に続いて研究所関連の種々の話が聞けたことは幸いでした。一行は29名でバス1台にゆったり乗車しました。前日の大会では全国から100人を超える参加者だったそうです。Aコースメンバーでも天草、岐阜、新潟など全国から参集され、年1回のクラス会に参加するような雰囲気が感じられました。メンバーは地名研究者に限らず、各地の地名研究会/地名の会の会員といった構成でした。
今回の研究会テーマは「アイヌ語地名」であり、配布資料は当地のコースを昭和56年5月に調査されたアイヌ語地名研究者である故山田秀三氏の著作の抜粋で、同氏と親交のあったアイヌ語地名研究者がコースに沿って残存するアイヌ語地名を説明してくれました。北海道や北東北の地名にはアイヌ語から発祥した地名が多く残っているというのが定説であり、その地を辿るコースでした。定刻の8:30にバスは出発、西に向かい最初のアイヌ語地名「大償(オオツグナイ)・小付内(コツゲナイ)」を車窓見学。山田秀三氏によれば、当地周辺には「nay」が多くあるが、アイヌ語「nay」の意味である「川」とも言えぬ場合も多いとのこと。続いて「飛内(トビナイ)」、「小呂別(オロベツ)」、「折壁(オリカベ)」と進み、アイヌ語の発音と意味を踏まえ、漢字を当てはめた解説を聴取しました。途中休憩を挟み、本日のハイライトである早池峰神社に向かいました。早池峰神社は1200年以上前に建立され、うっそうとした林に囲まれた荘厳なお社で、参道の途中からは県内第二位の高さを誇る早池峰山(1914m/岩手三山・遠野三山の三山信仰の中心)の初冠雪を見ることができ、信仰・民俗の町、遠野の魅力を引き立ててくれました。神社を参拝後は、宿坊での昼食となり、手の込んだ精進料理の弁当をいただきました。午後は栃内(トチナイ)・乙部(オトベ)などの土地を車窓見学し、予定を早め14:30には解散場所新花巻駅で新幹線の人となりました。
今回はアイヌ語地名がテーマで、自身は基本知識を持たないため、解説に追従仕切れないことばかりであったのは残念でした。しかしながら、長年のあこがれであった遠野に短時間ではありましたが足を踏み入れ、市内や周辺の景観の雰囲気を味わうことが出来たのは大きな喜びでした。