ハゼの木広場と新林公園
- 投稿日
- 執筆者
- 中岡裕志
- 掲載元
- ミニだより120号
沢駅南口から歩いてすぐ、後述する3棟に囲まれた「ハゼの木広場」に着く。ここの1本のハゼは、ナンキンハゼである。ナンキンハゼは、中国原産の落葉喬木で、新緑時には紅と緑の葉色が混じ、秋は紅葉または黄葉で美しい。花は6~7月、小形、黄色でやや香気がある。果実は11月、成熟するが有毒である。この実から蠟分を採る。

この区域は、現在「フジサワ名店ビル」と「湘南ダイヤモンドビル」と「ザ・プライム」の3棟の大型のビルが建っているが、2031年秋頃には、地上17階、地下2階、高さ約80mの超高層ビルに建て変わる予定である。
夏空の空は四角やハゼ広場
歩くこと5分、20m程の陸橋の高座橋を渡る。この橋の名称は「たかくら」橋である。というのは、江戸時代の新編相模国風土記稿によると、高座郡は国の東方にあり、江戸日本橋より郡の南端藤沢宿まで東海道の里程十二里なり、「倭名鈔」国郡の部で高座を「太加久良(たかくら)」と注す、とある。高座橋の下は、国道467号が通る。

歩いて10分、大道橋手前を右に曲がる。この境川沿いは、春になると、桜が綺麗である。
およそ400mの桜並木道である。桜と言えば、山田洋次監督の寅さん映画を思い出す。渥美清演じる寅さんの妹の名前が「さくら」である。このけなげな妹を、倍賞千恵子が演じていた。まさに、この映画の桜であった。大いに楽しませてもらった。こんなことを思いながら、桜並木道を歩く。境川は、新川名橋の所で柏尾川と合流する。流量も多くなり、川幅も広くなる。50m程の奥田橋を渡ると新林公園である。
新林公園は、東京ドーム球場の3.5倍の広さの公園で、山道に沿った全長1.5kmのハイキングコースをはじめ、藤沢市の指定重要文化財である長屋門と古民家の他、川名大池、湿性植物区、冒険広場、フジ棚、駐車場などがある。

長屋門(旧福原家)は、江戸時代に渡内の名主であった福原家の門で、江戸時代後期に建築されたものである。格式が高い家柄だったことを偲ばせる。

公園の日陰を探す酷暑かな
古民家(旧小池邸)は、江戸時代に柄沢村で代々名主であった小池家の建物で、1841年(天保12年)の江戸時代後期に建てられたものである。囲炉裏(いろり)・かまど・釣瓶(つるべ)井戸など昔の風情が感じられる。

古民家を出ると、側溝の草引きをしている管理人がいる。「暑いのに、ご苦労さん」と言うと、「もう1人は、巡回をしている。ゴミ拾いもしている」と答える。管理人は、2人いるようである。「大黒柱の黒は、どこから来ているのだろう」などと言っていた。
帰りながら、10年程前のある青年の事を思い出した。朝9時頃、新林公園へ散歩に行くと、入口のベンチで青年が読書をしていた。「朝から読書か?」と声をかけると「見ているだけ」と答える。「近く?」と問うと、驚くことに入口の駐車場を指した。「施設にいたのだけれど、働かないので追い出された」と言う。あの青年は、楽をすることをやめて、今は働いているだろうか。
